職場における空間デザインは、もしかすると個人の住宅より重要度が高いと言えるかもしれません。
働く場所のデザインは、そこで働く人への影響力が大きく、会社の売り上げや業績にまで関わることもあるからです。
職場には最適なデザインを持たせ、業務を効率的にしたいところですが、職場に適さない空間があるのも事実です。
動線の悪さ
不便な職場は業務の効率を悪化させます。これは主に動線を考慮していないがゆえに発生する問題です。プロのデザイナーや設計士でも、その職種の事情を理解していないと、設計を失敗してしまうことがあります。
職場と言っても、オフィスと販売業で、あるいはオフィスでも金融業と法律事務所では使い方も求める機能も違います。そういったケースでデザインを考える場合、普段からどのような不便を感じたり要望が発生しているか、潜在的な部分のニーズまで汲み上げるのが理想です。
あるいはもっと単純に、ドアとドアの距離が近いことや段差の配置、曲がり角の多さで室内での居心地や使い勝手は著しく変化します。
間取りを大きく取ったがために廊下が狭くすれ違いに気を使うようになってしまったり、業務に必要な機械を置くスペースが適切でなく、使用するまでにほんのひと手間が生じるなど、ちょっとしたことが職場での働きに影響を与えてしまいます。
パーソナルスペースの重要性
パーソナルスペースも問題となり易いポイントの一つです。これはとりわけ集団で一つの部屋に入るオフィスで発生しやすい問題です。人が働く以上、そこではある程度のプライバシーや保護が存在しなければなりません。
しかし一人一人に与えられるスペースは限られている、もしくはコストや運営面から考えた時に理想とする容量が決まっている時、どうしても詰め込んだりまとめたりしてしまいがちです。
しかし、人があまりにも近くにいると緊張するのが普通で、それは業務の質を落とします。それによって、会社の業績に影響を与えるのみならず、不快な職場環境から離職率を上げてしまう結果にもなりかねません。
人のプライバシーを考慮し、人を人として扱うという基本は無視できないのです。
依頼の説明が不十分
プロに依頼するとその面で安心できますが、よくあるのは「想像と違う」という問題です。これはかなりの程度、依頼主の説明の質にかかっています。
そもそも空間デザインを依頼する際、明確な課題と要望がどうしても必要です。何がなぜ必要・不必要なのかはっきりした説明は、デザイナーの力を発揮するのに不可欠だからです。
まとめ
職場に適さない空間は、いくつかの注意点を守るだけで劇的に改善します。コミュニケーションが解決策であるというケースも少なくありません。