空間デザインの方法と人間工学
快適な空間や過ごしやすい場所には、多分に人間工学上の優れたデザインが関係しています。

簡単に言うと、便利な空間は快適ということになりますが、この人間工学とは何でしょうか?

どのように人に影響を及ぼすのでしょうか?

人間工学とは

人間工学とは、人間が自然な動きや状態で、物を使用したり環境で過ごせるように設計する工学です。エルゴノミクス(Ergonomics)やヒューマンファクター(Human Factors)と呼ばれるのも人間工学のことです。

家や職場、公共施設において人間工学的に優れた設計がなされると、動き易く立ち回りが自然になり、無用な動きやケガにつながるような要素が少なくなります。人間工学は多大なる犠牲や研究の上に成り立っている、人の努力と犠牲の結晶であるとも言えます。

なぜ人間工学が作られたか

人間工学の歴史は明るいものではありません。その歴史は、働くことと健康を害することの関連を研究するところから始まったと言われています。

例えば産業革命が始まる頃のヨーロッパでは、炭鉱で働く人々が抱える病気が、炭鉱のすすだけではなく作業する姿勢に起因するのではないか、という研究を行っていた医師がいたことが知られています。

これは恐らく、そこで働く人々が長年苦しんできた病気や疾患に初めて光が当てられた時でした。労働が効率化してより厳しくなるにつれ、時代の流れや要求が医学との関連を求めたとも言えます。

時はさらに進み、機械が発達して自動車や航空機、あるいは加工機械などが普及した20世紀に、ヒューマンエラーや使用ミスによる事故が急増します。

これを受け多くの国では国家機関が調査に乗り出し、なぜそのような事故が起きるのかを徹底的に調べました。多くの調査報告では機器や機械の構造が、多くの操作ミスや見間違いを誘発したとして結論付けられることになります。

人間工学は常に、すでに犠牲になった方々から学んで発展してきた分野と言えるでしょう。

人間工学は空間デザインにも影響する

空間デザインにおいても、人間工学はかなりの範囲で利用されています。その多くはむしろ無意識のうちに取り入れられたものでもあります。例えばキッチンの台には、流しとスペースとコンロ用の台があります。

これは食材を流しで洗い、その後切る等の加工のためにスペースに置き、そして調理するという順番を考慮したものです。非常に細かいことですが、これがまさに人間工学の代表例です。

まとめ

空間デザインは人を対象にします。その人が快適に過ごせるよう科学的に研究するのが人間工学なのです。